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乾牧草

牧草について

牧草とは、動物の飼料として栽培される草類のことです。
牧草を栽培する農地を牧草地といい、利用目的により、採草地(Meadow/メドゥ)と放牧地(Pasture/パスチャー)に区別されます。このうち採草地で刈り取った牧草は、天日乾燥し、長期保管に耐えうる乾牧草(Hay/ヘイ)や青草、サイレージなどに利用されます。

牧草の多くは、イネ科牧草(チモシー、オーツ、オーチャードなど)とマメ科牧草(アルファルファ、クローバー)に属します。
それでは、弊社製品に使用している乾牧草として、イネ科牧草の「チモシー」とマメ科牧草の「アルファルファ」について詳しくご説明しましょう。

チモシー

チモシー

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チモシーは、ヨーロッパ原産のイネ科アワガエリ属の多年草で、世界の冷涼地帯における最も重要な牧草の一つです。
1970年代までは、おもに北海道産が流通していましたが、特殊くん蒸(後述)を条件に、アメリカからの輸入が本格化。その品質が認められ急速にシェアを伸ばしました。
チモシーの特徴は、イネ科牧草の中で最も香りが良く、高い嗜好性があること、栄養バランスと消化性に優れていることです。

日本向けの産地は、アメリカのワシントン州のエレンズバーグ(キッタスバレー)とコロンビアベースン、カナダのアルバータ州が中心です。
シアトルの南東約250㎞に位置するエレンズバーグは、海抜500m、三方を小高い丘に囲まれています。刈り取り期の夏になるとほとんど降雨がなく、晴天のもと乾いた風が牧草地を吹き渡ります。こういった気象条件によって、香りと色が良く、嗜好性の高いチモシーが生産されるのです。

チモシーは、6月中旬から7月初旬にかけて刈り取りが行われ、この最初に刈り取りしたものが「一番刈り」です。その後に再び生長したチモシーが8月中旬から9月中旬に刈り取られ「二番刈り」となります。天候に恵まれ生育が順調に進んだ年には、再三、生長することがあり、「三番刈り」として収穫されます。

チモシーの品質については、良好な緑色で下草(茶葉)や雑草の混入の少ないものが良質とされています。品質によってホースグレードとデイリーグレードに区別され、さらに細かく等級付けされます。


チモシーは、多年草牧草のため、一度播種すると5年以上収穫が可能です。ただし、年々収穫量は減少し、雑草は増加していきます。そのため、別の作物を栽培するなど牧草地の更新を行い、数年後に再びチモシーを栽培するという「輪作」が行われます。
 

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エレンズバーグ

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チモシーの栽培から出荷まで

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アルファルファ

アルファルファ

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アルファルファ(別名ルーサン)は、アジア南西部原産のマメ科ウマゴヤシ属の多年草です。有史以前から栽培されていた唯一の飼料作物といわれています。


アルファルファは、アルカリ性~中性土壌に適していることから、酸性土壌の日本ではあまり栽培されません。ほとんどがアメリカからの輸入に頼っており、国内で流通している乾牧草のなかでは、輸入量が最大となっています。アルファルファの特徴は、良質のたんぱく質やミネラルが豊富で、嗜好性に優れていることです。日本向けの産地は、アメリカワシントン州、カルフォルニア州、オレゴン州などが中心です。


ワシントン州コロンビアベースンでは、5月初旬から10月中旬にかけて、4回程度刈り取りします。

品質については、たんぱく質含量が高く、葉の部分が多くて柔らかいもの、緑色のものが良質とされています。品質によってプレミアムやレギュラーなどに等級付けされます。
チモシー同様に多年草牧草であり、アルファルファを数年間栽培後に小麦やとうもろこし、馬鈴薯などとの輪作を行っています。

 

くん蒸について

アメリカ産チモシーのくん蒸について

当社の取り扱うチモシーはすべて、くん蒸されたものを輸入しています。
くん蒸とは、農産物をコンテナや倉庫に入れ密閉し、薬剤をガス化して行う消毒方法のことです。
くん蒸の目的は、アメリカ産チモシーに、日本の輸入禁止植物「ムギワラ」および「カモジグサ」が混入しているためです。これらには、害虫のヘシアンバエが付着している可能性があります。
もし、日本でこのヘシアンバエが繁殖してしまうと、稲作や生態系に悪影響を及ぼし、取り返しのつかない事態に陥りかねません。
日本では、1972年頃から、アメリカ産チモシーの輸入が始まりましたが、この問題から1975年に輸入が停止されました。その後、多くの試験を経て「隣化水素」という薬剤でくん蒸を行うことが日米間で合意され、1979年に輸入が再開。現在の乾牧草市場の成長へとつながったという経緯があります。


現在は、日米の植物防疫機関の指導のもと、ほぼすべてのチモシーが、アメリカ農務省(USDA)認定を受けたくん蒸施設を持つ輸出業者から日本へ輸入されています。
なお、くん蒸で使用する「燐化水素」は、残留性の極めて低い安全な薬剤です。例えば、私たちが普段口にする雑穀類や、牛乳を生産する乳牛が食べる牧草に使用されています。また残留ガスの検査が、日本へ輸出される前に全ての乾牧草について行われ、さらに日本に到着後も、植物防疫所によって適宜、植物検査が行われるしくみとなっています。


これらのことから、くん蒸された乾牧草の安全性は非常に高く、人体はもちろん、ペットとして飼われている小動物たちの健康に影響を及ぼすものではありません。
くん蒸を行うのは、日本の農業や環境を守りながら、安全な乾牧草を安定的に輸入するために決められた大切なルールの一つなのです。
 

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牧草に混入する異物について

​牧草に混入する異物について

当社の牧草製品は、アメリカ産の牧草を使用しています。

牧草地は広大で、そこには、昆虫、ネズミ、ヘビ、小鳥など、さまざまな生き物が生息しています。

そのため、牧草の収穫時に、これらの生き物が収穫機械に巻き込まれ、牧草と一緒に梱包されてしまう可能性もあるわけです。

さらに、牧草地の土や小石、牧草以外の植物、収穫した牧草を梱包するために使用しているプラスチック製の紐の切れ端も牧草に混入することがあります。

 

当社では、牧草製品の加工やパッキングの際、人と機械による複数の選別方法で出来る限りの異物除去と検品を行っており、異物混入防止に努めておりますが、牧草が農作物である以上、異物を完全に取り除くことは難しいのが現状です。

そのため、牧草製品をご使用の際には、牧草の香りなどと併せて、異物の有無をご確認いただくようお願い申し上げます。

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